(1)適用可能なモジュール
乾式工法の場合、最低でも20oの石厚は必要だ。その上で0.5/u枚くらいの寸法が適当だと思う。この2点を考慮すると、おのずと使える石種が限られてくる。
(2)剥落防止のポイント
使用する金物は、外壁に準じれば問題ない。空積工法の場合、多くは下地の配筋や石引アンカーにステンレ線で引っ張って固定するが、ここで使用するステンレス線について少し説明をしたい。というのもステンレスの材質は実に複雑だからだ。一般にはSUS304とだけ書かれているが、石張りに使うSUS304のなかにはW1とW2、W1/2Hの3種類がある。公共工事でもSUS304の3.2oが指定される。JASS9(石工事)にも同じく指定されている。しかし3種類のうちどの材質を使うかは明記されていない。線径3.2oでもW1、W2は比較的軟らかく現場での加工が容易だが、線径3.2oのW1/2Hは非常に硬く現場での加工は非現実的だ。
公共工事などでSUS304の3.2oと指定されると施工業者は「線径3.2o」という指定を守るためW1,W2を使う。しかし、ほとんどの施工業者は、普通はW1/2Hの2.6oか2.8oを使用している。これらは、線径は滴たしていないが、強度計算をすると十分な強度をもっている。さらに、実際に使用したときの信頼感もW2の線径3.2oよりW1/2Hの2.8oの方が、数値の差以上に高い。それぞれの線の引っ帳り強度を表3にまとめたので参考にしてほしい。 |