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戦前までは、石張りといえば4寸内外の厚い石を使うのが一般的だった。そのころの石裏は割肌面でモルタルの付着もよかった。しかし、戦後になって30㎜前後の薄い石を使うようになって事情は一変した。元来、湿式工法はモルタルの接着力に依存している。ところが石厚が薄くなると、熱による石の膨張や反りが繰り返され、その動きにモルタルがついていけずに剥離する。運よく躯体に付着していても地震などで躯体に亀裂が発生すれば、石にも影響を与える。
したがって、RC下地に湿式工法で施工することは、現在ほとんどない(一部 の頭の古い公共事業ではたまにある)。乾式工法なら、安全であり工期短縮とそれに伴うコスト削減が期待できるからだ。
したがって、解説する意昧はあまりないのだが、参考までに簡単に説明しておく。
湿式工法はモルタルの接着力に依存しているため、石裏と躯体との間隔が重要になる。大きすぎても少なすぎてもそれぞれ問題が発生する。この寸法にはこれといった決まりはなく、施工者の経験と勘で決めている。筆者の場合30㎜くらいが適当だと思っている。なお、乾式工法と同様に、笠石との取り合いにはチリを10㎜くらいとりたい。
湿式工法の概要を図4にまとめた。工法としては単純だが工期はかかる。
裏込めモルタルが硬すぎると隙間ができるので柔らかめのモルタルを使うからだ。そのため1日に1~2段の施工が限度であり、無理をして積み上げると裏込めモルタルが石を抑し出してしまう。
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図4 湿式工法の施工手順 |
1.仮留め
・躯体に配筋しておいた鉄筋にステンレル線を絡ませ止水材などで仮留めする |
2.モルタル充填(1回日)
・横1段の仮留めが出来たら躯体との間に裏込めモルタルを高さ1/3程度充填する |
3.モルタル充填(2回日)
・モルタルの水分が引いてから再度高さ1/3程度モルタルを充填 |
4.次段の石を仮止め
・手順は1と同じ |
5.モルタル充填
・下段の残り部分と今回の石の高さ1/3程度モルタルを充填させる
・以下1~5を繰り返して積んでいく |
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(1)石のモジュール
湿式で施工するのは、鉄平石などの乱張りの施工に限られている。これらは石の性質上ある程度寸法が限られているので、石の寸法は必然的に決まる。
(2)剥落防止のポイント
接着剤の使用には問題がある。メー力ー1も外壁(日光や風雨に晒される場所) での使用を保証していない。モルタルの信頼性も接着剤と同じ程度である。引き金物も乱張りの場合はとらない。
(3)白華防止のポイント
モルタルのセメント量をできるだけ少なくする。裏処理も有効だが施工単価がかなり高くなるし、完全な効果は期待できない。
(4)目地
乱張りの場合、目地幅は10㎜内外であ る。深さはおおむね目地幅の半分で、仕上げは洗い目地(刷毛目地)となる。 |
参考文献:建築知識9月号 特集:まるごと石辞典 |
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